学校事務の日常

第1話 : 職員室のコピー機が止まった日・・

yokosukakiku-97

学校事務の朝は静かに始まらない

学校の朝は静かに始まるようで、実は小さな戦場。
雨の日のコピー機トラブルを通して、新人・陽奈が学校事務のリアルを体験する。
主任の冷静な対応、そこから見えてくるのは、

” 学校事務がベースを作って、学校は初めて動き始める “という現実。

朝の戦場、コピー機トラブル

午前8時10分。雨がしとしと降る中、職員室はまだ静かだった。

田中陽奈/新人
田中陽奈/新人

あれ?コピー出てこないです!

コピー機の前で固まるのは、新人事務員・田中陽奈(23歳)。
慌てて紙を引っ張ろうとしているが、完全に詰まっている。

鈴木華子/主任
鈴木華子/主任

紙詰まりね。雨で用紙が湿ってると、よくあることよ。

華子はコピー機のカバーを開けてローラーを外し、湿った紙を慎重に取り除き
乾いた新しい用紙を補充した。

田中陽奈/新人
田中陽奈/新人

え、雨だけでコピー機って止まっちゃうんですか?

鈴木華子/主任
鈴木華子/主任

そうなの、今日のように湿度の高い日は、コピー機の中の紙が湿めっていて、紙送りがうまくいかなくて詰まることが良くあるのよ。機械の故障より、ちょっとした“環境”のせいってことが多いの

午前8時25分。コピー機は「ウィーン」と再起動音を鳴らし動き始めた。
予鈴のチャイムと同時に復旧完了だ。

田中陽奈/新人
田中陽奈/新人

良かった、コピー機 順調に動き出しました !!

鈴木華子/主任
鈴木華子/主任

これで今日も学校が回るわ、朝礼前に間に合って良かった。

先生たちはプリントを取りに来て、「助かりました!」と声をかけてくれた。
陽奈は少し誇らしげに笑う。

属人化の壁と解決策

トナーや用紙の場所も、まだ陽奈は把握できていない。

鈴木華子/主任
鈴木華子/主任

あら! トナーも、もうすぐ切れる”注意表示”が出ているわね。

田中陽奈/新人
田中陽奈/新人

確かトナーは、職員室の後方の棚にありましたよね・・・?

鈴木華子/主任
鈴木華子/主任

先日、年度初めの掃除で、先生が職員室だと邪魔だからって、
印刷室に持って行ってたわ。その前は、近くにあった方が便利って、他の先生が職員室に持って来てたんだけどね。着いて来て。

華子が印刷室にトナーを取りに行く後を、陽奈は着いていく。
「学校事務は、小さなトラブルに日々向き合う仕事なんだ」と実感した。

田中陽奈/新人
田中陽奈/新人

朝からこんなにバタバタするんですね。(陽奈は小さく笑った)

鈴木華子/主任
鈴木華子/主任

授業が始まる前に、学校がスムーズに動き出すようにするのが事務職なの。

田中陽奈/新人
田中陽奈/新人

次は、用紙やトナーの置き場所をマップにします!

鈴木華子/主任
鈴木華子/主任

いいわね。誰でも分かるように “学校事務の見える化” 第一歩よ。


学校事務の朝に学ぶ “現場のしくみ”

学校事務の朝は戦場

生徒の登校前の時間も、印刷・備品・先生方の対応などで意外と忙しい。
保護者からの、電話連絡の対応にも追われる。
「朝、職員室のスムーズな始まり」は、事務職員の準備に支えられている。

属人化がトラブルを生む

備品の置き場所や発注ルールが人によって異なると混乱の元。
→ 在庫リスト・共有マップで「誰でもわかる仕組み化」を。

“見えない仕事”ほど学校を支える

表に出ない努力が学校の運営を支えている。
それを言葉や仕組みで「見える化」することが、これからの学校事務の力になる。

今日の学び
  • コピー機の紙詰まりの原因は“湿気”にあった。
  • 焦って機械のせいにせず、冷静に「状況を把握する」ことが大切。
  • 事務の仕事は、トラブルを「経験で片づけない」工夫が必要。
  • こうした気づきを共有することで、“属人化しない職場”が育つ。

新人の田中陽奈にとって、この雨の日の出来事は、
“職場での経験”の最初の1ページになった。

次回予告

第2話:「Excel地獄からの脱出・・・“入力”より大事なもの」


年度末、数字と格闘する陽奈。華子の一言が、仕事の本質を教えてくれた。

ABOUT ME
鈴木 華子
鈴木 華子
高等学校 事務主任
はじめまして。鈴木華子です。
高等学校で事務主任を務め、学校事務歴は15年になります。
一般企業や生命保険会社での事務経験を経て、現在は学校事務で働いています。
このブログでは、学校事務職員が知っておきたい「 実務 」「 キャリア 」「 転職 」「 働き方 」について、
50代事務主任のホンネで発信しています。
同じ立場の方、これから学校事務を目指す方にとって、現場で役立つヒントをお届けできたら嬉しいです。
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