第1話 : 職員室のコピー機が止まった日・・
学校の朝は静かに始まるようで、実は小さな戦場。
雨の日のコピー機トラブルを通して、新人・陽奈が学校事務のリアルを体験する。
主任の冷静な対応、そこから見えてくるのは、
” 学校事務がベースを作って、学校は初めて動き始める “という現実。
朝の戦場、コピー機トラブル
午前8時10分。雨がしとしと降る中、職員室はまだ静かだった。

あれ?コピー出てこないです!
コピー機の前で固まるのは、新人事務員・田中陽奈(23歳)。
慌てて紙を引っ張ろうとしているが、完全に詰まっている。

紙詰まりね。雨で用紙が湿ってると、よくあることよ。
華子はコピー機のカバーを開けてローラーを外し、湿った紙を慎重に取り除き
乾いた新しい用紙を補充した。

え、雨だけでコピー機って止まっちゃうんですか?

そうなの、今日のように湿度の高い日は、コピー機の中の紙が湿めっていて、紙送りがうまくいかなくて詰まることが良くあるのよ。機械の故障より、ちょっとした“環境”のせいってことが多いの
午前8時25分。コピー機は「ウィーン」と再起動音を鳴らし動き始めた。
予鈴のチャイムと同時に復旧完了だ。

良かった、コピー機 順調に動き出しました !!

これで今日も学校が回るわ、朝礼前に間に合って良かった。
先生たちはプリントを取りに来て、「助かりました!」と声をかけてくれた。
陽奈は少し誇らしげに笑う。
属人化の壁と解決策
トナーや用紙の場所も、まだ陽奈は把握できていない。

あら! トナーも、もうすぐ切れる”注意表示”が出ているわね。

確かトナーは、職員室の後方の棚にありましたよね・・・?

先日、年度初めの掃除で、先生が職員室だと邪魔だからって、
印刷室に持って行ってたわ。その前は、近くにあった方が便利って、他の先生が職員室に持って来てたんだけどね。着いて来て。
華子が印刷室にトナーを取りに行く後を、陽奈は着いていく。
「学校事務は、小さなトラブルに日々向き合う仕事なんだ」と実感した。

朝からこんなにバタバタするんですね。(陽奈は小さく笑った)

授業が始まる前に、学校がスムーズに動き出すようにするのが事務職なの。

次は、用紙やトナーの置き場所をマップにします!

いいわね。誰でも分かるように “学校事務の見える化” 第一歩よ。
学校事務の朝に学ぶ “現場のしくみ”
学校事務の朝は戦場
生徒の登校前の時間も、印刷・備品・先生方の対応などで意外と忙しい。
保護者からの、電話連絡の対応にも追われる。
「朝、職員室のスムーズな始まり」は、事務職員の準備に支えられている。
属人化がトラブルを生む
備品の置き場所や発注ルールが人によって異なると混乱の元。
→ 在庫リスト・共有マップで「誰でもわかる仕組み化」を。
“見えない仕事”ほど学校を支える
表に出ない努力が学校の運営を支えている。
それを言葉や仕組みで「見える化」することが、これからの学校事務の力になる。
- コピー機の紙詰まりの原因は“湿気”にあった。
- 焦って機械のせいにせず、冷静に「状況を把握する」ことが大切。
- 事務の仕事は、トラブルを「経験で片づけない」工夫が必要。
- こうした気づきを共有することで、“属人化しない職場”が育つ。
新人の田中陽奈にとって、この雨の日の出来事は、
“職場での経験”の最初の1ページになった。
年度末、数字と格闘する陽奈。華子の一言が、仕事の本質を教えてくれた。
