第3話:教員との“ すれ違い ”を防ぐ共有フォルダ

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教員との“ すれ違い ”を防ぐ共有フォルダ

新年度、行事準備でバタバタする学校。
新人の田中陽奈は、教員との連携ミスで提出物が遅れてしまう。
「伝えたはず」が「伝わっていない」。

落ち込む田中に、華子が見せたのは“ 共有フォルダ ”の活用方法だった。

個人メモでは防げないすれ違いも、共通サーバーで“ 見える化 ”すれば、チーム全体で仕事が進む。

学校事務の信頼は、情報の整理と共有から生まれる。

新年度、情報が飛び交う春

4月、始業式を数日後に控えた朝。職員室も事務室も、みんなバタバタしている。
学校行事・補助金・予算執行——どの業務も新年度始動の季節だ。

新人の田中陽奈は、新年度から行事費の支払い手続きを担当していた。
担当教員と情報共有のやり取りをメールと口頭で行い、予定通り進んでいるつもりだった。

ところが提出締切の日、教員から一言。
「えっ? その書類、まだアップされてないの?」

陽奈は慌ててサーバーを確認した。
自分のパソコンの“ローカル保存”に入れたままで、共有フォルダには未アップ。
話したつもり、送ったつもり——でも、相手の画面には何もなかった。

「伝えた」と「共有した」は違う

落ち込む陽奈の前に、紅茶を持った華子がやってきた。

鈴木華子/主任
鈴木華子/主任

陽奈さん、“ 伝えた ”と“ 共有した ”は違うの


華子は自分のパソコンの画面の、共通サーバーのフォルダ構成を見せた。

\ 共通サーバー \ 学校行事 \ 年度 \ 行事名 \ 事務関連資料

鈴木華子/主任
鈴木華子/主任

こうして行事ごとにフォルダを作って、誰でも見られるようにしておくの。
 “ 自分のパソコンの中 ”は、自分しか見えない世界だから

華子は、続ける。

鈴木華子/主任
鈴木華子/主任

口で伝えるより、“ フォルダに保存する ”ほうが早くて確実。
 そして、見出しをそろえると属人化もしない。

陽奈は頷きながら、フォルダの構造をノートに書き写した。
“共有する”という言葉の重みが、実感として解ってきた。

共有フォルダがつなぐチームワーク

翌週。陽奈は華子のアドバイスをもとに、行事フォルダを整理した。
行事名の頭に日付をつけ、ファイル名には「目的」と「版数」を明記。

2025_05_校外学習_支払予定表_v2.xlsx

同じファイルを見ながら、教員とのやり取りが格段にスムーズになった。
先生たちからも「このフォルダ、見やすいね!」と感謝の声。

華子は静かに笑いながら言った。

鈴木華子/主任
鈴木華子/主任

共有フォルダって、データを置く場所じゃなくて、信頼を置く場所なのよ。

今日の学び

・ 「 伝えた 」と「 共有した 」は全然違う。
・ 共有フォルダは、“ 見える化 ”の第一歩。
・ ファイル名の構築時のルール化が、属人化を防ぐ。
・ 学校共通サーバーは“ 保存庫 ”ではなく“ 活きた会話の場所 ”。
・ 整理された情報は、チームの信頼を育てる。

次回予告

第4話:「書類の海を泳ぐ——“提出期限”に追われない整理術」

期日ラッシュに追われる陽奈。
華子が教える“ スケジュール逆算術 ”が、事務の流れを変える——。

ABOUT ME
鈴木 華子
鈴木 華子
高等学校 事務主任
はじめまして。鈴木華子です。
高等学校で事務主任を務め、学校事務歴は15年になります。
一般企業や生命保険会社での事務経験を経て、現在は学校事務で働いています。
このブログでは、学校事務職員が知っておきたい「 実務 」「 キャリア 」「 転職 」「 働き方 」について、
50代事務主任のホンネで発信しています。
同じ立場の方、これから学校事務を目指す方にとって、現場で役立つヒントをお届けできたら嬉しいです。
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