このページにたどり着いた方は、たぶん3つのどれかだと思います。
・職場で主任への昇格を打診されて戸惑っている方。
・学校事務として働きながら、この先のキャリアが見えなくて不安な方。
・求人票で「事務長候補」の文字を見て、どんな仕事か気になった方。
先に結論をお伝えします。
学校事務にも、キャリアの階段はちゃんとあります。一般事務員 → 事務主任 → 事務長。段数は少ないけれど、確かに存在します。
この記事では、私立高校で5年目に主任へ昇格し、いま15年目の現役事務主任が、求人サイトの定義文には書かれていない役職のリアルをお話しします。
- 事務主任と事務長、それぞれの仕事内容(現場の実感つき)
- 役職の手当・年収はどう変わるか
- なり方と、打診されたときの考え方
- 5年目で「まさか」の打診を受けた私の実話
新人あかり主任と事務長って、何がどう違うんですか?
実はちゃんと分かってません…



詳しい中身は、現職でも意外と知らないものよ。
今日は役職の中身を、中にいる私が全部見せるわね
学校事務、役職の全体像


学校事務のキャリアの階段はシンプルだ
私立高校の多くは、「一般事務職員 → 事務主任 → 事務長」の3段です。
一方、大学や複数の学校を運営する大きな学校法人になると、一般企業のような階層を持つところもあります。違いを表にまとめました。
| 段階 | 高校のみの学校法人 | 複数校を運営する学校法人 |
|---|---|---|
| 入口 | 一般事務職員 | 一般事務職員 |
| 現場のリーダー | 事務主任 ※ | 事務主任 → 主幹 → 課長 |
| 経営側 | 事務長 | 部長 → 次長 → 事務局長 |
※事務主任は、経理系・総務系など職務ごとに複数名置く学校もあります。
勤め先の法人の規模で、キャリアの階段の段数は変わるのです。この記事では、私立高校で一般的な3段(表の左側)を軸にお話しします。
少ないポストは「待つ」より「育てる」
そして正直にお伝えすると、ポストの数は多くありません。事務室は5〜8人ほどの小さな組織なので、主任は1人、事務長も1人。一般企業のように「5年でリーダー、10年で課長」と自動的に上がっていく世界ではないのです。
ただ、だからこそ知っておいてほしいことがあります。ポストが少ない世界では、役職は「待っていれば来るもの」ではなく、日々の仕事の広げ方で手繰り寄せるものだということ。
この記事の後半で、私自身の例をお話しします。
事務主任の仕事内容【現役主任の実感】


事務主任が毎日やっている仕事リスト
まず、私がいま毎日やっている「事務主任の仕事」です。
- 事務室の仕事の割り振り調整 ── 各事務員の担当業務のバランスを見て、繁忙に応じて調整する
- 各担当の進捗確認 ── 日々の声かけで「あの件、どう?」と確認
- 経理と決算業務 ── 私の場合、経理を担当し、決算業務は事務長と連携して進めています。一般事務員のときより、お金の責任範囲がぐっと広がります
- 職員会議への出席 ── 学校の方向性を把握し、事務室に持ち帰る
- 出張・対外の会議 ── 県外の研修・会議が年1回、エリア内の事務部門の会議も年1回
- パート職員さんの勤務管理 ── シフトや勤務時間の管理
一言でいうと、「作業する人」から「事務室を回す人」への変化です。自分の担当をこなすだけでなく、事務室全体が今日もちゃんと機能しているかに責任を持つ立場になります。
事務主任になって、最初の壁は決算だった
正直に言うと、最初は大変でした。私の場合、昇格とともに決算業務の一部を新しく担当することになり、覚えることが一気に増えたからです。
それまでは「自分の担当」の範囲でお金を見ていればよかったのが、学校全体のお金の流れを追いかける仕事に変わる——役職の重さを最初に実感したのは、この決算でした。
職員会議に、自分から「出たい」と言った
主任の仕事の中で、私にとって転機になった話をひとつ。
私が主任になる前、職員会議に出るのは事務長だけでした。会議の内容は、会議資料と事務長からの口頭伝達で事務室に降りてきます。
でも、紙と伝言だけでは行事の流れや学校の方向性が、どうにも立体的に見えない。そう感じていた私は、昇格を機に「私も職員会議に出席したいです」と自分から申し出ました。
出てみると、世界が変わりました。学校全体の流れが鮮明に見え、先生方ひとりひとりの意見も直接聞ける。
「この行事の裏で、事務は何を準備すべきか」が先回りで分かるので、事務室のサポートの質が一段上がった実感があります。
この経験から言えるのは、役職の仕事は「与えられたリストをこなすこと」ではないということです。
必要だと思う仕事を自分から取りに行く——主任という立場は、その提案が通りやすくなる立場でもあります。
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自分から「出たい」って言えるの、すごいです。私だったら、遠慮してしまいそうで…



事務室のためになる提案なら、学校はちゃんと聞いてくれるわ。
事務長と主任の仕事内容【比較表】


事務長の仕事=経営側の人
次に、事務長の仕事です。私の勤務校(私立高校)の例をもとに、一般的な姿をまとめます。
- 理事会に出席し、書記・議事を務める ── 学校法人の意思決定の場に入る
- 運営委員会のメンバー ── 私立高校の多くには、理事長・校長・事務長・教頭・各部長・学年主任などで構成される運営委員会があります。事務長はその一員です。
学内の序列でいえばナンバー3に位置する学校も珍しくありません - 理事長・校長の秘書的業務 ── スケジュール管理、各種案内、伝票の決裁
- 施設関係の管理 ── 校舎・設備の大きな話は事務長マター
- 対外的な仕事 ── 地域の私学事務長会への出席など、学校の「事務の顔」
つまり事務長は、現場の人ではなく、経営側の人です。事務室のリーダーというより、学校法人の運営メンバー。ここが主任との決定的な違いです。
事務長と事務主任の違いを表で見る
| 比較項目 | 事務主任 | 事務長 |
|---|---|---|
| 立ち位置 | 現場のまとめ役 | 経営側の一員(学内ナンバー3ポジ) |
| 主な会議 | 職員会議 | 理事会・運営委員会・職員会議 |
| 責任範囲 | 事務室の業務が回ること | 学校法人の運営・お金・施設 |
| 対外業務 | 県外・エリア内の会議が年1回ずつ程度 | 多い(事務長会・業者対応など) |
| 距離が近い相手 | 事務室のメンバー・先生方 | 理事長・校長 |
この違いは、日々の仕事にも表れます。事務長は普段、理事長や校長の意向を聞く立場です。
だから逆に、「一般の先生方はどう感じている?」と、私に意見を求めることがあります。主任は、現場の空気を経営側に届ける役目もあるのです。
私が先生方の意見や気持ちを意識して聞くようにしているのは、その相談に、現場の実感で答えられるようにするためです。
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主任は「現場のリーダー」、事務長は「経営の人」。
違う仕事なのに、つながっているんですね



つながってはいるの。でもね、「主任の延長線に事務長がある」とは限らないのよ。
求められる力が、変わるの
昇格で、給料・手当はどう変わる?
気になるお金の話も、正直に。
私の場合、主任への昇格で基本給が月2万円ほど上がり、主任手当が月1万円つきました。基本給が上がると、基本給をベースに掛け率で算出するボーナスも一緒に上がります。
正直、「役職がつけば一気に年収アップ」という世界ではありません。ただ、基本給の昇給と手当の積み重ねで、5年後・10年後の差はじわじわ効いてきます。
事務長クラスになると、学校法人の管理職として給与テーブル自体が変わる学校が多く、金額は学校の規模と法人の方針次第で幅が大きいのが実情です。
月収・ボーナスの実額データは、こちらの記事で公開しています。
【実話】5年目で、まさかの主任打診


ここからは、私自身の話をさせてください。
前任の主任が退職すると聞いたとき、私は入職5年目でした。後任は、外から経験者を採用するのだろうと思っていました。何しろ、私はまだ5年目です。だから打診されたときの本音は、「まさか自分が」でした。
すぐには、返事ができませんでした。残業が増えるのではないか。家庭との両立はできるのか。そもそも、私に務まるのか——不安を数えたら、きりがありませんでした。
迷って、夫に相談しました。返ってきたのは、
「やってみたら。家のことはサポートするよ」
その一言に背中を押されて、挑戦することに決めました。
思えば、学校事務に来る前に勤めていた会社は、上場している大手でしたが、古い企業体質が残り女性が管理職になるのは稀な職場でした。
管理職になる自分なんて、考えたこともなかった。その私が、学校事務の世界では5年目で役職に就いた。学校事務は、女性が普通にキャリアを積める仕事なのだと、自分の身で知りました。
もうひとつ、忘れられないシーンがあります。私の人事発表のあと同期入職の先生がわざわざ事務室まで来て、いつもの同期同士の会話とは違う丁寧な口調で、こう言ってくださったのです。
「おめでとうございます。同期の出世頭ですね。」
学校では、先生と事務職員も「同期」の縁でつながっています。同期会で一緒に飲みに行くこともあり、教員と事務の仕事は違っても、お互いの働きぶりはどこかで見えている。事務の仕事は目立ちませんが、見てくれている人は、ちゃんといる。あの一言は、いまでも私の支えです。



5年目で打診…私だったら、受ける自信ないです



私もなかったわ。でも打診は、周りが「できる」と認めた証拠。
自己評価より当たっていることも、あるのよ
「周りの評価のほうが当たっている」——とはいえ、職場の評価は目には見えません。
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役職になるには、内部昇格と外部採用


事務主任・事務長のなり方は2つ
- 内部昇格 ── 一番多いパターン。前任者の退職・定年に伴って、在職者から選ばれます。
私もこの形でした。 - 外部採用 ── 「事務長候補」として経験者を募集する学校もあります。
銀行や一般企業の管理職経験者が事務長として採用されるケースは、私学ではよくある話です。
周辺私学で見た「事務長の席」への入り方
これは私の見てきた範囲の話ですが、周辺の私学の事務長は、この15年でほとんどの学校が代替わりしました。
内部からの昇進は半分ほど。残りは外からで、公立学校を早期退職された方が招かれたり、銀行から出向で来られたり、理事長のご親族が就かれたり。
事務長の席への入り方は、学校の数だけあります。ご親族の場合は事務長を経て理事長になる流れもあり、事務長が「経営への入口」のポストであることがよく分かります。
そして、これは私学のリアルとして正直に書いておきます。
事務長のような経営に近いポストほど、法人の方針や人のつながりで決まる面もあります。実力だけの世界ではありません。だからこそ、「ポストに就けるかどうか」を目標にするより、役職に値する仕事の広げ方を続けることをおすすめします。
日々の仕事ぶりは、必ず誰かが見ています。私に声がかかったのも、特別なアピールをしたからではなく、積み重ねを見てもらえていたからだと思います。
そして、たとえポストが巡ってこなかったとしても、広げた仕事の経験は、たとえば転職市場でそのまま評価される資産になります。
手のひらの上に、学校全体
考えてみれば、学校で何かを始めるときは、必ずお金が動きます。お金が動けば、事務室が動く。だから事務の仕事を突き詰めると、自然と経営者の視点が身についていくのです。
事務は「縁の下の力持ち」とよく言われます。でも、15年やってきた私の実感は、もう少し大きい。縁の下で支えているのではなく、手のひらの上に学校全体を乗せて動かしている——事務は、そういう仕事です。
役職経験(またはそれに準ずる業務経験)が市場でどう値付けされるかは、無料で確認できます。「自分の現在地」を知っておくと、キャリアの判断がぐっと楽になりますよ。
よくある質問(FAQ)
主任・事務長への道は「待つ」より「育てる」
- 私立高校のキャリアは 一般事務員 → 主任 → 事務長 の3段が基本。大学や複数校を持つ大法人なら、課長・部長・事務局長と階段が増える
- 主任は現場を回す人、事務長は経営側の人。求められる力が違う
- 給料は「一気にアップ」ではなく、昇給+手当でじわじわ差がつく
- ポストが少ないからこそ、仕事を自分から広げる人に打診は巡ってくる
- 広げた仕事の経験は、たとえ校内でポストがなくても、市場価値という形で残る
「学校事務にキャリアなんてない」と思っていた方に、この記事が「あるんだ」という発見になればうれしいです。
5年目の私に「まさか」が起きたように、あなたにも起きるかもしれません。
そのときは、思い切って受けてみてください、新しい世界がきっと広がります。
📎 もっと深く学校事務について知りたい方は、こちらの記事もご覧ください ↓






最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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