「学校事務 小論文試験 テーマ」で調べても、出てくるのは「よく出る話題」の一覧ばかりで、実際どう書けば受かるのかが分からない――という方は多いはずです。なお、採用案内では「作文試験」と書かれることもありますが、対策は同じです。
小論文は「書く力」に見えて、実は「考える力」を見られています。 頻出テーマを暗記するだけでは差がつきません。お題を選ぶ段階、そして出題者がなぜそのお題を用意したかを読む段階から、すでに試験は始まっています。
この記事では、私立高校で15年勤務する現役事務主任が、次の内容を実際の出題例つきで解説します。
- 学校事務の採用試験でよく出る小論文テーマ
- 合格小論文の書き方3つのコツ
- 「お題選び」の段階で差がつく理由(勤務校の実際の出題例つき)
なお、筆記試験のもう1つの柱である教養試験の対策(参考書の選び方・勉強の順番・6か月スケジュール)は、学校事務の筆記試験対策 で詳しく解説しています。
新人あかり小論文って、結局何を書けば正解なんですか?



正解は1つじゃないの。でも「選ばれる考え方」はあるのよ。順番に見ていきましょう


鈴木 えりか
- 私立高校の現役事務主任(学校事務15年目)
- 一般企業・金融機関の事務職を経て学校事務へ
- 採用面接にも携わる立場(採用する側の視点で解説)
- 公立との違い・給料・採用試験を実データ+実体験で解説
- ブログは新人「あかり」さんとの対話形式でお届け
学校事務の小論文、何が問われるのか
よく出るテーマは3つ
学校事務の採用試験でよく出るテーマは、この3つです。
- 公務員として心がけたいこと(公立の場合)
- 学校の役割について
- なぜ学校事務を志望するのか(志望動機系)
いずれも「学校事務という仕事をどう理解しているか」「なぜこの仕事を選んだか」を問う設問です。
事前にテーマを知っておくだけでも、当日の心構えはだいぶ変わります。
見られているのは「書く力」より「考える力」
小論文と聞くと、文章のうまさを競う試験だと思われがちです。
実際に見られているのは、文章力ではありません。
採点する側が知りたいのは、次の2つです。
- お題を正しく受け取れているか
- 自分の考えを、順序立てて説明できるか
たとえば「学校の役割について」というお題に、学校の思い出を書いてしまう人がいます。
文章としては読みやすくても、問われたことに答えていません。
反対に、多少ぎこちない文章でも、問いに正面から答えていれば伝わります。
学校事務の仕事は、書類を作り、数字を合わせ、人に説明する仕事です。
派手さはありませんが、筋道を立てて考える力が毎日必要になります。
小論文は、筋道を立てて考える力があるかどうかを見る場でもあります。



文章が下手だと落ちる、と思っていました……



うまい文章より、聞かれたことに答えている文章のほうが強いのよ
私立と公立で、小論文の重みが違う
先に、大事なことをお伝えします。小論文は、どの学校でも必ず出る試験ではありません。
公立と私立で、扱いがはっきり違います。
| 区分 | 小論文の扱い |
|---|---|
| 公立 | 採用試験の一部として、ほぼ必ずある |
| 私立 | 学校によって、ある学校とない学校がある |
公立は、小論文がほぼ必ず出る
公立の学校事務は、地方公務員の採用試験を受けて入ります。試験の中身は自治体が決めていて、教養試験と一緒に小論文や作文が課されるのが一般的です。
自治体によって字数も時間も違うので、受ける自治体の募集要項を必ず確認してください。
公立を目指すなら、小論文は「出るかもしれない試験」ではなく「出る試験」として準備しておくのが安全です。
私立は、小論文がない学校もある
私立は、採用の形が学校ごとに違います。
筆記試験も小論文もなく、書類と面接だけで決まる学校もあります。
私の勤務校でも、急に欠員が出たときの募集では、面接だけで採用したことがありました。
募集の事情によって、試験の中身が変わるということです。
- 時間をかけて選べる募集 → 筆記と小論文がある
- 急いで人を入れたい募集 → 面接だけのことがある
私立を受けるときは、募集要項に「小論文」「作文」の文字があるかどうかを最初に確認してください。
書いていなければ、面接の準備に時間を回せます。
応募が多い年ほど、小論文が効いてくる
もう1つ、私立ならではの事情があります。
新卒の募集で応募が多く集まった年は、小論文で人数を絞ることがあります。
面接は1人ずつ時間がかかります。
応募者が多いと、全員と会うことができません。
そこで先に小論文を書いてもらい、読んだうえで面接に進む人を選ぶという流れになります。
つまり小論文は、毎回ある試験ではなく、応募が多いときほど効いてくる試験です。
だからこそ、小論文が出る学校では差がつきます。
出るかどうかは応募してみないと分かりません。
準備しておくのがいちばん安全です。



出ないこともあるなら、対策しなくていいのかと思いました



逆よ。出たときに差がつくから、やっておいた人が有利なの
合格小論文の書き方、3つのコツ
テーマが分かっても、書き方を間違えると点数につながりません。押さえるべきコツは3つです。


タップすると拡大できます
- 型は「結論→理由→具体例→まとめ」
- 原稿用紙1〜2枚(400〜800字)に収める
- 志望動機は、必ず用意しておく
型は「結論→理由→具体例→まとめ」
- 結論を先に書き、そのあと理由と具体例を続けます。
- 読み手(採点者)は多くの答案を短時間で読むため、最初に結論がないと、何を主張したい文章か伝わりません。
原稿用紙1〜2枚(400〜800字)に収める
字数は試験によって違いますが、原稿用紙で1枚から2枚の範囲が多いところです。
1枚が400字なので、400字から800字と考えてください。
そして、ほとんどの場合は手書き、パソコンではありません。
手書きだと、次の3つが起きます。
- 漢字が思い出せない
- 書き直すと、消しゴムの時間がかかる
- 最後の数行で、行数が足りなくなる
だから練習も、紙に手で書いてください。 パソコンで下書きだけしていると、本番で必ず戸惑います。
本番は制限時間内での勝負です。
時間を測って書く練習を重ね、自分の中で「800字を何分で書けるか」を把握しておきます。
志望動機は、必ず用意しておく
- テーマが志望動機でなくても、多くの小論文は最終的に志望動機につながる形で締めることになります。
- 事前に自分の言葉で用意しておくと、本番で慌てません。
志望動機の作り方は、別の記事にまとめています。小論文の準備にも使えます。



小論文は書く力に見えて、実は考える力を見ています
【例文】学校の役割について書く
書き方のコツを3つ挙げましたが、実際にどう並ぶのかが分からないと書けません。
頻出テーマの1つ「学校の役割について」を例に、私ならこう書くという形をお見せします。
私は採用試験の面接に携わっていますが、提出された答案を採点する立場ではありません。
採点はしませんが、答案の全てに目を通します。
下の答案例は模範解答ではなく、あくまで「学校で15年働いてきた人間が書くとしたら」という一例です。
学校の役割とは、生徒が安心して学べる環境を用意することだと考える。
学校というと、授業が中心の場所だと思われがちである。しかし授業が成り立つためには、手前に整えておくべきものが数多くある。教室の机と椅子、教材、光熱費、通学路の安全、家庭の経済的な事情への配慮。どれか1つでも欠ければ、生徒は落ち着いて授業を受けられない。
私は前職で、金融機関の事務を担当していた。窓口に立つ担当者が安心して接客できるよう、書類の準備や数字の確認を裏側で整える仕事である。表に出ることはないが、裏側が崩れると現場が止まる。学校も同じ構造だと考えている。
実際、学校には授業以外の役割が数多くある。就学支援金の手続きは家庭の負担を減らし、進学の道を開く。設備の点検は事故を防ぐ。行事の準備は、生徒が学校を好きになるきっかけをつくる。いずれも直接教えることはないが、学びを支えている。
つまり学校の役割とは、教えることだけではない。教える場を成り立たせ続けることまで含めて、学校の役割だと考える。
私は事務職員として、学びの土台を支える側で働きたい。数字や書類を正確に扱うことは、生徒が安心して学べる環境を守ることにつながると考えている。
文体が「である調」なのは、小論文だからです。 面接や志望動機とは違います。
答案は 504字(原稿用紙1枚と少し)です。800字の指定なら、3段落目の経験をもう1つ足すか、4段落目の具体例を厚くします。
答案の組み立て方、6つの段落
6つの段落が、それぞれ役割を持っています。
| 段落 | 役割 | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 結論を1文で言い切る | 1〜2行 |
| 2 | なぜそう考えるかの理由 | 3〜4行 |
| 3 | 自分の経験とつなげる | 3〜4行 |
| 4 | 学校に即した具体例 | 3〜4行 |
| 5 | 結論をもう一度、言葉を変えて | 2行 |
| 6 | 事務職員としての立場 | 2行 |
1段落目で答えを言い切っているのが、いちばん大事なところです。
採点する人は多くの答案を短い時間で読みます。
最初の1文で「何を主張する文章か」が分かる形にしてください。
3段落目に自分の経験を入れると、他の受験者と同じ内容になりません。
金融機関の事務、接客業、子育て、部活動——何でも構いません。
学校の役割とつながる話を1つ持っておくと、どのテーマでも使えます。
400字(原稿用紙1枚)なら、どこを削るか
字数が半分なら、3段落目か4段落目のどちらかを落とします。
- 経験を書く自信があるなら → 4段落目(具体例)を削る
- 学校のことをよく調べたなら → 3段落目(経験)を削る
1段落目(結論)と最後の2段落は、削らないでください。
結論のない答案と、締めのない答案は、どちらも印象に残りません。



段落ごとに役割があると、書く順番で迷わないですね



型が決まっていれば、あとは中身を入れるだけよ
お題選びから、勝負は始まっている
ここまでは、どの対策本にも載っている内容です。ですが実際の試験では、複数のお題から1つを選んで書く形式もあります。実はこの「どれを選ぶか」の段階から、勝負はすでに始まっています。
このとき、「どれが書きやすいか」だけでなく「なぜ出題者はこのお題にしたのか」を考えることも、立派な試験突破のテクニックです。
【 実際のお題 3つ・・・私の勤務校の場合】
以前の採用試験で、私の勤務校で実際に受験者へ提示したお題
- あなたが学校事務職を志望した理由と、本校で貢献したいことを述べなさい
- 学生時代に最も力を注いだことと、その経験から得た学びを述べなさい
- 最近関心を持ったスポーツの話題について、自由に述べなさい(例:大谷翔平選手の活躍)



スポーツ…? 小論文でこれを選ぶ人、いるんですか?



それがね、あえて選ぶ価値があるお題なんです
最初の2つは、どの学校でも見かける王道のお題です。ところが3つ目だけ、明らかに毛色が違います。
「スポーツの時事ネタ」これは出題者の好みがそのまま出た、いわば突拍子もないお題でした。
「準備しやすいお題」、合格者を選べない
実は、王道のお題には出題する側のジレンマがあります。
「志望理由」や「学生時代に力を入れたこと」は、受験者が事前に用意してきやすいお題です。
対策本や模範解答も世の中にあふれていて、誰でもある程度きれいにまとめられてしまいます。
すると、用意してきた文章の完成度の差はついても、その人の地力――その場で考える力や、人柄――までは見えにくくなります。
そこで出題者は、あえて準備しにくいお題を一つ混ぜておくことがあります。
台本のない話題を振ることで、暗記してきた答えではなく、受験者が自分の言葉でどう語るかを見たい。
スポーツの時事ネタは、まさにそうした「素の実力をはかるお題」としての一面も持っているのです。
| 比較項目 | 王道のお題 | 変わったお題 |
|---|---|---|
| 例 | 志望理由・学生時代 | スポーツの時事ネタ |
| 対策本 | ある | ない |
| 準備 | しやすい | しにくい |
| 見えるもの | 文章の完成度 | その場で考える力 |
「変わったお題」は出題者からのサイン?
一見すると選びにくいお題ですが、実はこれを選ぶ価値があります。
なぜなら、わざわざこのお題を用意したということは、出題者自身がその話題を好きで、それについて語れる人と一緒に働きたいと思っている可能性が高いからです。
【 出題者の意図を考える 】
- このお題に答えてほしい、と思っている → その心は?
- 同じ話題で盛り上がれる人が来てくれたら嬉しい
- 「価値観が近い仲間」を探している
出題者の期待を読み取り、あえて同じ土俵に乗る。
お題を選んだこと自体が「私はこの職場に馴染めます」という、さりげないアピールになります。
小論文は、書く前の「お題選び」の段階から始まっています。
書きやすさで選ぶのも一つですが、出題者の意図や人柄が透けて見えるお題があれば、それを選ぶのは有効な一手です。
出題する側も人間。その人が「答えてほしい」と願って用意したお題に応えることが、ほかの受験者との差につながります。
よくある質問(FAQ)
小論文試験対策まとめ、ポイント6つ
- 頻出テーマは「公務員として心がけたいこと」「学校の役割について」「志望動機」の3つ
- 公立はほぼ必ず小論文がある。私立は学校によって、出題がない場合もある
- 応募が多い年ほど、小論文でふるいをかけられることがある
- 書き方は「結論→理由→具体例→まとめ」。原稿用紙1〜2枚で、ほとんどが手書き
- 自分の経験を1つ用意しておくと、どのテーマでも使える
- お題が複数ある試験では、書きやすさだけでなく「出題者がなぜこのお題を用意したか」まで考える
学校事務になるまでの全体像(公立・国立・私立の3ルート、倍率の実データ、面接対策)は、「学校事務になるには」の記事でまとめています。



コメント