「学校事務 見下される」——検索窓に打ち込んだ夜のことは、たぶん誰にも話していないと思います。
まず、いちばん伝えたいことから言います。
あなたの仕事の価値は、消えていません。”見えにくい”だけです。そして、見る人にはちゃんと見えています。
私は私立高校の事務室で15年働く、現役の事務主任です。見下されているように感じた夜も、仕事の価値を確信できた朝も、両方経験してきました。
この記事では、「見下されている」という感覚の正体を種明かしして、明日からの向き合い方までお話しします。
- 「見下されている」と感じる瞬間の正体(性格ではなく、構造の問題)
- 学校が”事務で回っている”と言い切れる、お金の実例
- 視線との向き合い方と、心の守り方
新人あかり実は私、職員会議のたびに、ちょっとだけ肩身が狭いです……



その感覚、私も新人のころ持っていたわ。
まずは「あるある」から、正直に並べてみましょう


鈴木 えりか
- 私立高校の現役事務主任(学校事務15年目)
- 一般企業・金融機関の事務職を経て学校事務へ
- 採用面接にも携わる立場(採用する側の視点で解説)
- 公立との違い・給料・採用試験を実データ+実体験で解説
- ブログは新人「あかり」さんとの対話形式でお届け
「見下されている」と感じる瞬間 5つ
学校事務が「軽く扱われている」と感じる場面には、共通点があります。先に、私の実体験を5つ並べます。
① 職員会議に、事務の「席」がない
私の学校の職員会議では、会議室前方に管理職の席があり、教員は学年ごとに席のまとまりがあります。
事務と養護教諭には、決まった席がありません。各学年の、空いている後ろの席に座ります。
会議が終わり、学年ごとの打ち合わせに移る場面では、そっと席を立ちます。
誰かに意地悪をされたわけではありません。でも「少人数だから、どこでもいいでしょ」という空気は、毎回少しだけ胸に残ります。
② 教員は「先生」、事務は「さん」
校内放送で呼ばれるとき、先生方は「◯◯先生」、事務は「◯◯さん」です。
小学校や中学校では「事務の先生」と呼ばれていたはずなのに、いつの間にか呼び名から「先生」が消えています。
呼び名ひとつ、と言えばそれまでです。それでも、毎日聞く言葉は積み重なります。
③ 「パソコン得意でしょ」と振られる仕事
学校説明会の資料作成を、「パソコン得意だよね」のひとことで頼まれたことがあります。本来は担当部署の仕事です。
頼んだ先生は定時に帰りました。私は残業でした。
④ 事務の繁忙期は、先生方に知られていない
入試の時期だけは「事務は忙しい」と先生方にも知られています。入試以外の事務の仕事は、先生方の目に入りません。
決算、年に3回ある会計監査、補助金の申請、年末調整——事務は、授業や行事とは別のカレンダーでも動いています。
決算の締めと重なった時期に、保護者が来校する行事の受付を急に頼まれたこともあります。
⑤ コピー用紙「無くなった」と報告される
用紙の置き場は、全員が知っています。なくなったタイミングで補充すれば済む話です。
コピーしていて用紙切れになっても自分で補充せず「用紙なくなったよ」と事務室に伝える先生が少なからずいます。
そして先生は別のコピー機で印刷を始めるのです。
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全部、心当たりがあります……。
私たちの仕事って、軽く見られているんでしょうか



そう感じるのは自然よ。でもね、原因は先生方の人格でも、あなたの価値でもないの。 次の章で、視線の正体を種明かしするわ
視線の正体は「成果が見えない」構造
結論から言います。「見下されている」ように感じる本当の原因は、教員と事務では、成果の”見え方”がまったく違うことにあります。
教員の成果は、毎日、生徒の姿で見えます。授業、部活、進路。頑張りがそのまま形になります。
事務の成果は、「何も起きないこと」です。
給与が正しく振り込まれる。書類に不備が出ない。監査で指摘を受けない——うまくいけばいくほど、仕事の存在そのものが消えていきます。
成果が見えない仕事は、忙しさも見えません。だから決算の山場に受付を頼まれるし、「パソコン得意でしょ」で仕事が飛んできます。悪意ではなく、見えていないだけなんです。
学校が「見える成果」を中心に回る構造については、【学校事務は頭おかしい】の記事で詳しく書きました。
📎「学校事務は頭おかしい」と検索したあなたへ
そして、成果が見えない仕事の話は、学校に限りません。
「ミスのないことが、私たちの価値です」
私が金融機関で働いていた頃、月に一度、朝礼で管理職が短い講話をする時間がありました。
営業の方の話は、いつも華やかでした。数字、表彰、逆転の契約——聞いていて胸のすくような実績の話が続きます。
ある朝、窓口部門の課長が話す番になりました。課長は、こう切り出したんです。
「営業のみなさんのように、実績でお話しできる仕事ではないので、何を話すか迷ったのですが」
そして続けた言葉を、今も覚えています。
「ミスのないことが、私たちの価値です」
営業の人たちに混じって聞きながら、私は思いました——この課長は、私と同じ世界の人だ、と。
後日、縁があって、私はその課長のもとで働くことになります。書類の一枚まで丁寧に扱う方でした。朝礼の言葉は飾りではなく、毎日の仕事で積み上げてきた本物の言葉だったんだと、そばで働いて分かりました。
「何も起きないこと」を成果にしている人は、どの業界にもいます。
そして、価値の分かる人には、ちゃんと見えています。
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学校は事務で回っている
見えにくいだけで、事務が扱っているのは学校経営の生命線です。
私立学校を支えているお金は、大きく二つです。ひとつは、保護者が納めてくださる授業料や入学金。もうひとつは、国や自治体から入る私学助成です。
校舎の電気代も、教材も、先生方の給与も、元をたどれば授業料と私学助成にたどり着きます。
授業料の入口を守り、私学助成の申請書を書いているのが、事務室です。
授業料の未納が続くご家庭には、通知を送り、お電話をかけます。担任の先生から保護者へひとこと添えてほしいとお願いして、「お金の話は事務さんで」と返されたことも、正直あります。
それでも、事務の仕事には、教室では起こらない場面があります。
一枚の申請書が、卒業を守ることがある
学費の納入が難しくなるご家庭は、どの学校にもあります。
窓口で状況を伺いながら、使える公的な支援制度がないか、一緒に探すことがあります。「うちは対象外だと思っていました」とおっしゃるご家庭が、実は制度に該当していた——窓口で一緒に調べて分かったことが、一度や二度ではありません。
支援制度の申請書は、難しい言い回しで書かれています。だから、窓口で一緒に読む。それも事務の仕事です。
「おかげさまで、無事に卒業できました」——申請をご一緒したご家庭から、後になって声をかけていただくことがあります。
教壇に立たなくても、事務は生徒の「学び続ける機会」を守れます。「無事に卒業できました」の一言が、何よりの証明だと思っています。
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授業料の督促って、正直つらい仕事だと思っていました。
でも、その先にこんな場面があるんですね



お金の仕事は、学びを支える仕事なのよ。 それにね、事務の価値を分かってくれる人は、案外たくさんいるの
「見る人」には、ちゃんと見えている
学校の外に一歩出ると、事務の仕事の価値を分かっている人に出会います。
監査は、嬉しい言葉を二度いただける仕事
会計監査の日、公認会計士の先生からこう言っていただいたことがあります。
「資料が綺麗にまとまっていて、見やすいです」
別の年には、私の作った資料が、いつもの置き場にありませんでした。会計士の先生は席を立って探し、こうおっしゃいました。
「いつもの資料は、どこですか?」
見えない仕事は、無くなったときに一番よく見えます。
「主任に聞けば全部分かるので、助かります」——監査のたびにいただく言葉です。
監査が終わると、玄関で会計士の先生をお見送りします。理事長と、事務長と、監査資料をまとめた私の三人です。
お見送りが済むと、理事長が私に「お疲れ様でした」と声をかけてくださいます。
会計士の先生から一度、理事長からもう一度。監査は、嬉しい言葉を二度いただける、頑張りがいのある仕事です。
事務室を頼りにしている人たち
他の私立学校の事務の方から、連絡をいただくことがあります。
入試のWeb出願は、いつから始めましたか。去年の体育祭が雨で、玉入れの玉がカビてしまった。急いで借りられる先はないか。学費の口座登録の用紙が切れたので、貸してもらえないか。銀行はもう閉まっていて、保護者が取りに来る時間が迫っている。
入試の制度から、玉入れの玉、用紙一枚まで。学校事務が見ている範囲の広さが、そのまま相談の幅になります。
学校の垣根を越えて頼られる専門職——それが事務です。
そして、忘れられない一言があります。
行事の準備をひとりで抱えていた養護教諭の先生を手伝ったとき、「事務のみなさんには、いつも気にかけていただいて」と言ってくださいました。
職員会議で、決まった席のない者同士。少数職種の仕事の重さは、少数職種が一番よく知っています。



全員に分かってもらう必要はないの。 価値の分かる人には、あなたの仕事はちゃんと見えているわ
学校の中の評価だけで、自分を測っていませんか。外の物差しを一つ持っておくと、「いざとなれば動ける」という余裕が生まれます。余裕は、明日の働きやすさの土台になります。
明日からできる、視線との向き合い方
視線そのものは変えられません。でも、見せ方と守り方は今日から変えられます。3つだけ紹介します。
① 事務の繁忙期を「見える化」して渡す
「知られていない」なら、見せれば良いんです。
私は、私が使っているのは、校務システムの掲示板です。学年ごと・事務・養護と欄が分かれていて、その日の予定を書き込む場所があります。
事務の欄に「今月は決算の締めです」と一行入れておくだけで、急な依頼は目に見えて減ります。急ぎのときは、職員朝礼で直接お伝えします。
② 断るときは、理由と代案をセットで
「できません」だけの返事は、角が立ちます。かといって、黙って引き受け続けると、際限がなくなります。
「今週は決算の締めなので、来週の火曜ならできます」——根拠と代案のある返事は、専門職の返事です。
数字と期日で話す事務の言葉は、実は先生方に一番伝わります。
③ 分かってくれる数人を、大事にする
会計士の先生、養護教諭の先生、他校の事務仲間。もちろん先生方の中にも。
あなたの仕事の価値を分かっている人は、必ずいます。
関係は、小さなきっかけから育ちます。私の場合は、研修会でご一緒したのが始まりでした。そこからメールのやり取りになり、今では電話で相談し合える相手です。
全員に認められる必要はありません。分かってくれる数人がいれば、人は働き続けられます。
そして、もうひとつだけ。
眠れない、食欲がない、涙が出る——そんな状態が続くなら、心がSOSを出しています。無理をせず、医療機関や公的な相談窓口(こころの健康相談統一ダイヤルなど)を頼ってください。
しんどい時の心の守り方は、【学校事務はきつい】の記事に詳しく書いています。
📎 学校事務はきつい?大変な瞬間5つ・乗り越え方5つ
消耗が続くなら、環境を変えていい
構造が分かっても、向き合い方を変えても、毎日心が削られていく——そういう職場も、正直あります。
見下す空気の濃さは、学校によってまったく違います。あなたの感覚がおかしいのではなく、環境との相性の問題です。
人間関係そのものに悩んでいる方は、閉鎖的な事務室で心を守る方法をまとめた記事をどうぞ。
📎 学校事務の人間関係はなぜしんどい?
「辞めたい」が頭から離れなくなっている方は、辞めていい人・粘るべき人の見分け方を先に確認してみてください。
📎 学校事務を辞めたいあなたへ
学校事務で培った経理・調整力は、他の事務職でも活かせる場面があります。ひとりで抱え込む前に、プロに無料で相談して、選択肢を広げておくのも一つの手です。
\ プロに無料で相談できる /
相談だけで終わっても大丈夫です
よくある質問(FAQ)
何も起きなかった今日は、あなたの成果
- 席がない・「さん」呼び・急な依頼——見下されたと感じる瞬間には共通の構造がある
- 原因は先生方の人格ではなく、事務の成果が「何も起きないこと」で見えないから
- 学校は授業料で回っていて、その生命線を守っているのは事務室
- 一枚の公的な支援制度の申請書が、生徒の卒業を守ることがある
- 会計士・他校・業者・養護教諭——「見る人」にはちゃんと見えている
- 繁忙期の見える化と、根拠と代案のある返事で、見せ方は変えられる
- それでも消耗が続くなら、環境を変えるのはあなたの正当な選択肢
「見下されている」と感じた夜のあなたへ。
あなたの仕事は、今日も学校のどこかで、誰かの「何事もない一日」を支えています。
何も起きなかった今日は、あなたの成果です。
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明日の職員会議は、少しだけ背筋を伸ばして座れそうです



どの席に座っても、あなたの仕事の価値は変わらないのよ
📎もっと深く学校事務について知りたい方は、こちらの記事もご覧ください ↓






最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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